破産しても失わない財産(自由財産)と換価可能な財産一覧表

破産代表者が、破産したまま保有できる財産は、以下の通りです。この枠を最大限活用することで、破産後の生活を確保できます。

?、破産手続きと関係のない財産

1、破産宣告後に取得した財産

全て取得できます。
例えば、1月1日午後5時に破産宣告を受けたら、その後に取得した財産は、破産財団に組み入れることなく、全て取得できます。

2、家族の財産

夫が破産しても妻やその他の家族の財産には関係ありません。

3、財産分与による清算

妻が、夫の破産前に離婚して財産分与で2分の1を確保することも可能な場合があります。

?、破産宣告前に取得した財産

?以外の財産は、原則として、全て失いますが、以下の財産は、破産しても破産者が自由に所持・費消できる財産である自由財産として、そのまま保持できます。

第1、本来的自由財産 (法律で自由財産と認められているもの)

1、破産法で自由財産と認められているもの

現金99万円。

2、差押禁止財産。

(1)民事執行法上の差押禁止財産
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零細自営業者・労働者の商売道具で、その業務に欠くことができない器具
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生活に必要な家財道具や衣と食
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民間の年金保険(原則4分の3相当部分)
(2)特別法上の差押禁止財産
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小規模企業共済(小規模企業共済法15条)
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中小企業退職金共済・建設業退職金共済(中小企業退職金共済法20)
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公的年金(国民年金 厚生年金)
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企業年金
企業年金のうち、確定給付企業年金、確定拠出年金は、差押禁止であり、自由財産になる。
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簡易生命保険の還付金請求権
保険契約者が個人の場合で平成3年4月1日以前に発効した契約は差押禁止であり、自由財産となる。
平成3年4月1日以後に発効した契約、契約者配当金、平成3年4月1日以前に発効した契約でも、契約者が法人の場合、差押禁止ではないので、自由財産とならず、破産財団を構成する。
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健保上の各種保険給付受給権(高額療養費・家族埋葬支給等)。
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生活保護法に基づく生活保護受給権等
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雇用保険に基づく失業等給付受給権
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労働基準法に基づく労働者の補償請求権
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交通事故保険金の被害者の保険会社に対する直接請求権
(3)権利の性質上差押できないもの
行使上の一身専属財産慰謝料請求権
ただし、具体的な金額の慰謝料請求権が当事者で客観的に確定し、現実の履行を残すのみとなった場合は、一身専属性を失い、自由財産にはならない。

第2、東京地裁が、自由財産の拡張として、特に認めているもの

1.
居住用家屋の敷金
2.
家財道具(贅沢品は除く)
3.
電話加入権
4.
残高20万円以下の預金
5.
見込額20万円以下の生命保険解約返戻金
6.
処分見込額20万円以下の自動車(減価償却期間経過車は原則0評価)
7.
(退職金−20万円)の8分の7.ただし、160万円以下の退職金は全額自由財産(支給見込み額の8分の1が20万円以下の場合、退職金全額)
(注)この基準は、各地方裁判所で異なります。大阪地裁などは、預金や保険なども拡張適格財産として、解約しなくても、99万円の枠内なら認めます。ただし、全体で99万円を超えないことが必要です。

注目!

[東京地裁で、財産を現金化した場合に99万円の所持を認められるもの]

個人が破産しても、99万円の現金と20万円の預金、20万円の保険金等は、管財人に引き継ぐ必要はなく、自己の自由な財産として、引き続き所持し続けることができます。現金と預金、保険で、ぴっちり自由財産の枠に当てはまっていれば、合計139万円を持ったまま破産できることになります。(東京地裁の基準です。大阪地裁や名古屋地裁等では基準が異なります)。

そこで、例えば、預金や保険がある場合、破産申立前日に一部解約して現金化し金額を20万円におさえておけば、合計139万円の現預金や保険金を確保できます。

しかし、このような換価行為が認められるのは、預金や保険です。不動産や売掛金等は、換価しても、99万円の枠で現金を保持することは認められません。

過払い金は、裁判所により取り扱いが異なり、大阪地裁や名古屋地裁は明確な基準があります。
ほぼ不可能と思ってください。
99万円の枠を超えて自由財産の拡張を申し立てる制度がありますが、高齢者で病弱、高額の医療費が必要、保険の再加入が認められないという、拡張を認めなければ破産者の生死にかかわり、人道的に拡張せざるを得ないという特殊な場合以外は認められません。

99万円の枠を超えて自由財産の範囲を拡張できますか?