
Q1
当社は、繊維問屋一筋で30年間頑張ってきましたが、取引先企業の倒産等が重なり、
資金繰りが困難になってきました。
会社を再建させるべく、弁護士の先生に民事再生の相談をしましたが、費用が工面できません。
どうしたら良いでしょうか?
A1
こういうケースは多いでしょう。会社が倒産するというには、資金繰りがパンクしたということですから、
予納金を用意できないケースがむしろ普通です。通常は、手形決済期日ぎりぎりまで走り回り、あげくは
システム金融などの手を出し、万策尽きて弁護士のところにかけこむという場合です。
あと1ヶ月早く弁護士の所に来てもらえば、民事再生が利用でき、会社を再建できたのにという
ケースは少なくありません。
しかし、今更「社長あなたの決断が遅かった」と責めても、どうしようもありません。こうなると、
私的整理といわれる方法で会社を再建するより他ありません。
Q2
予納金が用意できるなら、法的整理を選択すべきでしょうか?
A2
かならずしも、そうとは限りません。債権者が少人数で同業者の場合などは、私的整理を選択する方が
合理的な場合があります。たとえば、繊維問屋がつぶれ、債権者が同じ業界の人達ばかりという時です。
その他、公共事情を請け負っている建築会社の場合なども、法的整理を選択すると入札に参加
できなくなりますから、私的整理を選択することになります。
Q3
私の所に「会社再生を専門にしている」という企業から電話があり、「当社で融資し、会社を再生
させてやる」、「ついては、融資の担保として小切手・約束手形を預からせてくれ」という申し出が
ありました。多くの実績がある企業だそうです。
「弁護士に頼んでも、金と時間ばかりかかり、最後は会社を追い出される」、「建前ばかりで、融通が
利かない」、「着手金はいらない」、「当社に依頼してもらえば、裏で金を回すことも可能だ」と
言われました。どうしたら良いでしょうか?
A3
それは整理屋といわれる会社です。整理屋集団は、名簿業者から資金繰りの苦しい企業名簿を
入手し、言葉巧みに営業をかけてきます。しかし、そのような話しには乗ってはいけません。
一見、通常の企業を装っていますが、背後に暴力団がいることが多く、そのような整理屋に依頼したら
最後、一生逃げ回るより他はありません。
倒産会社は、整理屋にとっては、まさに「宝の箱」です。取引先金融機関に集団で乗り込み、
強引に債権カットを要求し、あげくは担保不動産に浮浪者などを使って占拠させ、不動産競売を
妨害します。
貴方の得意先にもおしかけ、要求を呑まなければ、どうなるかわからないぞと脅しをかけます。
そして、会社財産を現金化し、債権者には配当しないまま、自分たちで山分けをし、また次の倒産会社に
移っていきます。
かくて、あなたは、倒産した以上の迷惑を取引先等にかけることになり、二度と顔を合わせることは
できなくなります。取引先も、決して貴方を許さないでしょう。
貴方の社会的生命は、これで終わりです。
Q4
私的整理で会社再建ができるのでしょうか?
Q4
民事再生で会社を再建するには、債権者・債権額の過半数の同意があれば、大丈夫です。反対する
債権者にも、法律が、再建策に従うよう「強制」できます。
ところが、私的整理では、この「強制」ができません。100%とは言わないまでも、それに近い債権者の
同意がなければ再建できません。
かくて、私的整理で会社を再建できるのは、民事再生に比べて非常に困難です。
Q5
どういう場合に、再建できるのでしょうか?
A5
まず担保権者の了解を得なければなりません。そのためには、担保権を実行するより、分割で
払わせたほうが得であると納得させなければなりません。
そのほか、一般債権者も、「破産するよりマシ」と納得させなければなりません。
そのためには、貴方自身の会社に、それだけの収益力ー収益を産む体力があることが必要です。
しかしこのようなケースは限られています。
| @ | 本来なら会社経営に何ら問題がなかったが、運悪く巨額の焦げ付きを抱えて経営困難に陥った |
| A | 経費に無駄が多く、リストラをすれば、何とかなる |
等のケースに限られるでしょう。
Q6
私的整理は、弁護士に頼むべきでしょうか?
A6
手続きを弁護士に委任することは、債権者の信頼を得るために、最低限必要です。
私的整理が「不正の温床」というのは社会常識です。金融機関・大手取引先等の債権者は、
「法的手続きをとらずに私的整理を選択したのは、何か悪巧みをしているからだ」と考えます。
そのため、これらの企業では、私的整理には、できるだけ距離を置くようにしています。
弁護士でない集団が私的整理を牛耳っていれば、「こいつら整理屋だな」と考え、以後は、全く
相手にしなくなります。
債権者の一人が代表として私的整理を遂行する場合でも、債権者の立場と公正な第三者の立場が
両立する訳がありません。現に、私的整理の運営方針をめぐって数多くの裁判が起こされていますが、
そのほとんどが債権者の一人が債権者代表者となって、私的整理を行った場合です。
また整理屋が債権者の一人になりすまし、債権者委員長に就任するケースも少なくありません。
他方、弁護士が行うときは、不正があれば資格を剥奪されるわけで、この点で、手続きの公正さが
担保されていることになります。
私的整理の公正さを信じてもらうためにも、弁護士に委任するようにしましょう。
Q7
私的整理で企業を再生させるには、どのような方法がありますか?
A7
一番多いのは、負債の一部を分割払いし、残りをカットしてもらうという方法です。
しかし、この場合、大部分の債権者が同意しても、一部の強硬な債権者が会社財産を差し押さえ
れば、再建は頓挫します。
それをふせぐために、新会社を設立し、そこに営業譲渡をし、その新会社が債務を引き受け、
分割で支払うという方法もとられます。
しかし、この場合も、その営業譲渡が債権者を害する行為として、取り消される場合もあります。
それに、旧会社の繰越欠損金を受け継げず、せっかくの利益に法人税が課せられてしまいます。
Q8
色々検討しましたが、企業の再建は困難なようです。どうしたら良いでしょう?
A8
できることなら、企業は再建した方がよいのです。
貴方が事業を閉鎖すれば、取引先は、負債が焦げ付くばかりか、得意先を失ってしまいます。
従業員も、次の職場を探さなければならず、高齢の従業員には、それは困難でしょう。
貴方の会社の設備・機械も、あなたの会社にあるからこそ価値があるのであり、廃業すれば
スクラップ同然となります。
しかし、再建できないのに無理に再建しようとするとかえって被害を大きくし、社会にさらに
迷惑をかけてしまうことも事実です。
再建が無理と判断したときは、破産か、私的整理による会社整理手続きを取ることになります。
Q9
会社を閉鎖すると決意したとき、破産と私的整理による企業整理とどちらを
選ぶべきでしょう?
A9
前に述べたとおり、私的整理は、「不正の温床」ですから、破産手続きによる方が、世間の人の
信頼を得られるでしょう。
特に債権者のなかに、街金等、問題のある人がいるときは、積極的に破産を選択すべきです。
しかし、債権者がみな同業者等、まとまりのあるときは、私的整理で、少しでも、債権者に多く
の配当をしたほうが良い事もあります。
Q10
破産は、時間と費用がかかると聞きましたが?
A10
それは昔の話です。今、裁判所は最低20万円の予納金で受け付けてくれるケースもあります。
また、昔は、破産終了まで何年もかかったというケースが多々ありましたが、現在は、6ヶ月で
終わらせるようにしております。
ただ、破産では、経営に問題があるとき、破産管財人が、経営者を訴えることもあります。