企業再生.com
Q1
どういう場合に企業の再生・整理を検討するのですか。
A1
@構造的な原因で赤字になったとき、A構造的な原因でなくとも、赤字が3年続いた場合です。
単年度で赤字になっても、まだ黄色信号で、すぐに清算や再生を検討する必要はありません。永い間、経営していれば、赤字の時もあります。
しかし、3年続いたら、危機的状況です。
また、原因が構造的なものと考えられるときは、単年度で赤字になった場合、企業の再生・整理を検討する必要があります。
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Q2
再生が可能かどうかは、どうやって見極めるのですか。
A2
@企業存続の社会的必要性がある場合、A営業利益が黒字の場合です。
上記@Aの2要件を十分充足する場合、再生は十分可能です。
上記要件@Aのいずれにも該当しない場合、企業再生は非常に困難です。
上記@Aのいずれかに該当するときは、ケースバイケースです。
例えば、病院や学校、地域の中核となる企業等、その企業を倒産させると、より重大な結果を引き起こす場合は、財務内容によっては、債権者は再生に協力的になります。
また資金繰りに窮しても、原因がデリバティブ取引の失敗や巨額の不渡を食らったためで、営業そのものが順調な場合は、財務内容によっては、債権者は再生に協力的になります。
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Q3
企業再生を可能にするための制度・手法としては、どのようなものがありますか。
A3
制度としては民事再生・中小企業再生支援協議会・事業再生ADRがあり、手法としては、リスケ・新規融資・M&Aがあります。
「多少の資金繰り悪化」程度なら、リスケや新規融資を試み、深刻な資金繰り悪化なら民事再生・中小企業再生支援協議会・事業再生ADRの手続き、M&Aを検討するというのが国や金融機関の方策です。
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Q4
リスケや新規融資を申し込むに当たり注意すべき点は何ですか。
A4
@冷静に会社の現実を見つめること、A金融ブローカーに騙されないことです。
@資金繰りに窮した会社代表者に、「あきらめなければ必ず再生できる」と甘い言葉をかけて近づく「再生専門家」が多数います。しかし、Q2の要件に該当しない企業の再生は困難で、無理に再生を試みると、家族や取引先、従業員にさらに迷惑をかけることになります。
Aまた、高い報酬目当てでリスケや新規融資の手続き代行の依頼を受ける「再生専門家」がいますが、リスケや新規融資は自分で申し込むべきで、「再生専門家」と称する金融ブローカーなどに依頼すべきではありません。リスケや新規融資は、銀行本部が決算書類だけを見て判断し、金融ブローカーの口車に影響されることはありません。
また、これらの金融ブローカーは、成功報酬として、融資金額の数%という高い手数料を取る結果、結果的に極めて高利な融資を受けたと同様な結果になり、企業の寿命を縮め、関係者への迷惑をかけることになります。
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Q5
再生のために中小企業再生支援協議会は効果的でしょうか。
A5
個人的意見ですが、中小企業再生支援協議会は金融機関の債権回収手段です。
本来、中小企業再生支援協議会は、資金繰りに窮した会社代表者が、自らの意思で窓口に相談に訪れることを前提としています。
相談を受けた協議会は、建前では、金融機関と企業の仲に立ち、金融機関に債権のカットを働きかけ@ 5年以内に債務超過を解消する。A 3年以内に経常利益が黒字になるという要件をクリアする再生計画案を作成してくれることになっています。
しかし、実際は、相談のきっかけは、資金繰りに窮してリスケのお願いに行った先の金融機関が、融資金が焦げつかないよう、中小企業再生支援協議会に連れて行っているのが現実です。しかも、その過程は、再生というよりも、企業の隠し資産の発見に重点が置かれており、金融機関が債権を免除することも、現実には、ありえません。
中小企業再生支援協議会は、「中小企業の再生支援」が目的ではなく、資金繰りに窮した中小企業が破産に走ることを防止する制度です。
現実に、この中小企業再生支援協議会は、あまり利用されていません。
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Q6
再生のために事業再生ADRは効果的でしょうか。
A6
個人的意見ですが、事業再生ADRは、現実には、企業の再生には何の役にもたっていません。
このADRは、かなりの費用が掛かり、最終的には数千万円単位になり、中小企業には、現実的な選択肢ではありません。
費用の点はさておいても、事業再生実務家協会が、さかんに強調するメリットは、「つなぎ融資」と「債務免除益の非課税」ですが、現実には、倒産の危機にある企業に、つなぎ融資などしてくれる銀行などはないし、債務免除してまで再建させようという銀行などもありません。
2011年1月に、バイオ関連企業の林原が事業再生ADRを申請したが、わずか数日で断念し、会社更生法の適用を申請したのは、この制度が、現実には、機能していない証左です。
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Q7
民事再生手続きを利用すれば、再生できますか。
A7
社会的な存続の要請の強い企業で営業利益が黒字の場合は、可能です。それ以外は、ハードルが高いです。
経営者には、「経営が赤字だが、この手続きを使えば、債務の8割はカットできて、経営者は経営権を維持できる。債権者は、破産より弁済率が高くなりますといえば、喜んで再生計画案に同意してくれる。」と思い込んでいる人がいます。そのようにアドバイスする弁護士もいます。
しかし、倒産させた経営者の再生計画案など誰も信用せず、破産より弁済率の高い再生計画案を示すだけでは相手にされません。仮に、この点をクリアしても、会社を倒産させた経営者の続投を許すほど世間は甘くはなく、経営者の交代が求められる場合も少なくありません。
しかも、手続費用や弁護士費用で最低でも1000万円程度の費用が必要になるし、少なくとも6か月は仕入れはキャッシュになるので、その仕入れの現金も用意する必要があります。さらに、欠損金の繰越控除を使えない限度で、債務免除益に課税される多額の法人税支払いのキャッシュも必要になります。
さらに民事再生法では銀行などの担保付債権を持っている債権者の債権をカットすることはできず、一方、大切な取引先との債権は大幅にカットされる結果、従来の取引先との関係が悪化します。
実際、民事再生申請件数は、全国でも、わずかに150件強程度。しかも、そのうち4分の1は、破産に移行しているという統計もあります。民事再生で再生できた企業は、経営の続投を拒否された例も含めて、年間、100件強にすぎません。
経営者が「つぶしたくない。経営権を保持し続けたい」という想いだけでは民事再生は無理です。
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Q8
再生専門家という方から企業分割をすすめられました。財産と大切な取引先を残したまま他の借金を消せるそうです。
A8
そのような企業分割の手法は違法です。
「再生専門家」と称する連中が熱心に勧める手法が企業分割です。
資金繰りに窮した会社が、別の新会社を設立し、そこに【会社の重要な資産】と【大切な債権者】だけを移し、あとは踏み倒すというもので、一般的には、今後の事業に必要な債権者の債権だけは返済し、金融機関の債権や公租公課は踏み倒すという手法で利用されています。
しかし、このような詐害的会社分割は最高裁によって詐害行為取消の対象になると判断されています。平成24年10月12日判決
また、平成26年に会社法が改正され、分割会社が残存債権者を害することを知って会社分割をした場合、残存債権者は、資産や事業の承継会社・分割による新設会社に対しても、承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求できるものとしました。(重要な資産を関連会社等に売却してしまう事業譲渡による手段も同様に規制されました)。
これにより、会社の資産を処分した場合の弁済率が、承継会社の債権者と分割会社の間で著しく異なる場合、債権者は、その会社分割を詐害行為として取り消すか、承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求できることになります。
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Q9
リスケや新規融資を再生専門家に頼むことは効果がありますか。
A9
頼んでも逆効果です。
資金繰りに窮した会社代表者が、「再生専門」家に、新規融資の獲得やリスケのお願いをすることがあります。
しかし、新規融資やリスケを銀行が断るということは、財務的に見て、その企業はすでに完全に死に体ということです。こういう企業が「再生専門」家に頼んで無理に新規融資を獲得したとしても、通常よりは金利を含めて条件が悪くなるし、しかも、その融資金額等から、数%という手数料が差し引かれることを考えれば、結果的に、かなりの高金利融資になってしまいます。
経営権の維持で頭がいっぱいで、冷静な判断のできない起業家は、ついとびついてしまいますが、今後、その高利融資の返済がどうなるかを考えれば、より悲惨な結果をもたらすことは明白です。
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