法人破産Q&A

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Q1
破産申し立ての弁護士費用は、森法律事務所の場合は、いくらですか?

A1
代表者の個人破産申立もあわせて合計50万円です。
消費者個人破産の場合は、日弁連が債務整理準則を定め、報酬上限額を定めています。これに対し、法人の場合は、弁護士会で定めた準則というものがなく、各弁護士事務所によって異なります。
事務所は、代表者の個人破産と併せて合計50万円で受任しています。ただし、労働問題をかかえていたり、債権者が極端に多い等、通常の法人破産を超える業務が予想されるときは、所定金額では受任できない場合があります。
弁護士業界で、いわゆるクレサラ事務所といわれる法律事務所では、100〜200万円(代表者個人の破産は別料金)で受任しているケースが多いようです。これらの事務所では、広告宣伝費の経費が莫大なため、原価計算をすると、どうしても、破産申立費用が高額になるのです。
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Q2
法人破産の場合の弁護士費用は分割払いが可能ですか?

A2
可能な場合と不可能な場合があります。
消費者個人破産の場合は、弁護士介入通知を発送し、債権調査をし、利息制限法で引き直し計算をし、正確な債権額が判明した段階で破産申し立てをします。そのため、受任から破産申立まで数か月かかるのが普通で、破産申立時までに分割で弁護士費用を支払ってもらうことになります。
法人破産でも、ずっと前に事実上倒産し、法人登記が残っているだけで実体は何もないという場合は、消費者個人破産と同様の処理をしますので、受任から破産申し立てまで数か月かかります。弁護士費用は破産申立時までに分割で支払ってもらうことになります。
しかし、法人が現に事業継続中、あるいは閉鎖して間もない場合は、直ちに破産申立をすることが要求されます。
これは、破産申立代理人弁護士の法的義務とされ、弁護士が可及的かつ速やかに破産申立をしない結果、破産財団が散逸したときは、代理人弁護士は、損害賠償責任を負うというのが裁判所の公式見解です。
したがって、法人が営業継続中、あるいは事業を閉鎖して間もない場合は、弁護士費用は事前に一括払いとなります。
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Q3
某法律事務所に依頼しようとしたところ、弁護士費用として500万円を請求されました。妥当な金額なのでしょうか?

A3
妥当な場合と妥当でない場合があり、後者の場合は、破産管財人から弁護士費用を否認されます。
法人破産の弁護士費用は、弁護士会で明確な基準がなく、ぼったくりとも思える様な弁護士費用のトラブルが多発しています。
いわゆるクレサラ事務所などは、負債額と債権者数で金額を決めているようですが、裁判所は、業務量を基準に弁護士費用が適正か判断しているようです。
旧弁護士会の報酬規定は50万円〜と定めており、おそらく100万円程度までは否認されることは少ないと思いますが、中小規模の会社破産で弁護士費用が200万円とか300万円となると、裁判所から弁護士費用を問題視される場合もあるでしょう。
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Q4
私は、会社を倒産させるのは恥だと考え、借りられるところから借りまくり、暴力団金融にまで手を出し、親族にも連帯保証人になってもらっています。会社や代表者の自己破産は出来るのでしょうか?

A4
出来ます。普通のパターンで恥じることはありません。
会社経営が傾いたら、すぐに弁護士のところに相談に来るのが理想ですが、現実には、そういう方はほとんどいません。たいていは、会社が倒産したら全てがアウトだと思いこみ、親族友人、借りられるところから借りまくり、高利貸しにまで手を出し、もう万策つきた段階で弁護士に相談するという方が非常に多いです。
時間、金策に追い詰められた経営者こそ、我々弁護士が対象とするクライアントです。
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〔代表者個人の破産〕

Q5
代表者だけ個人破産をして会社は放置することはできますか?

A5
できません。(東京地裁扱い)
代表者が個人破産をすると、代表者は会社との委任契約が終了するので、自動的に代表者の座を失います。その結果、会社は、代表者不在のまま清算もされずに放置されるという奇妙な事態になります。会社債権者は、代表者がいないため、破産会社に法的手続きをとりたくても、とれなくなります。損金処理をしようとしても、会社が破産したわけでもないので、面倒です。
そのため、東京地裁では、代表者個人が破産するときは、必ず法人とセットで受理するようにしています。
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Q6
会社だけ破産して代表者は破産しないことはできますか?

A6
できますが、ほとんど例がありません。
中小規模の会社では、たいていの場合、代表者個人が連帯保証をしています。
代表者には財産は何もない、この先取られるものは何もないとしても、代表者も、いずれは働き人生の再出発をすることになることを考えれば、通常は、代表者個人も、同時に個人破産をするのが通例です。
また、法人と代表者個人の負債や資産は、互いに関連性があり、債権者が共通している場合も多く、双方の調査をしないと破産手続きが円滑にいきません。東京地裁では、できるだけ法人破産と代表者破産を同時に行うよう指導しています。
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〔破産で混乱が予想されるとき〕

Q7
債権者の混乱が予想される場合、保全管理人を選任することになるのでしょうか?

A7
申立の即日に破産宣告をし、破産管財人を選任することになります。
事業が継続している場合等、破産宣告を受けると債権者が事業者に押しかけ商品を引き上げる、不法集団が事業所を占拠するという異常事態が生ずる場合があります。そのような事態を生じさせないために、破産法は、破産宣告を受け破産管財人が就任する前に、便宜上、保全管理人を選任し、財産の維持を保全する措置を定めています。
しかし、現在の東京地裁は、緊急を要する案件は、申立ての日に破産管財人を選任し、破産宣告を出すように処理しています。保全管理人を選任するケースは、極めて例外的です。
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Q8
法人破産では同時廃止は利用できませんか?

A8
できません。管財事件になります。
法人の代表者は、法人に対して債権を有していたり、逆に債務を負担しています。また、当該法人の株を有しているのが普通です。
そのため、法人と代表者個人を、同時並行的に調査する必要があります。
法人の元代表者も、同様です。
ただし、法人と代表者で一括して管財費用を納めてもらえばよいので、債務者にとってもメリットがあります。
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Q9
法人は管財事件として処理しても、代表者のみ同時廃止破産はできませんか?

A9
できません。
法人の代表者は、法人に対して債権を有していたり、逆に債務を負担しています。また、当該法人の株を有しているのが普通です。 そのため、法人と代表者個人を、同時並行的に調査する必要があります。 法人の元代表者も、同様です。 ただし、法人と代表者で一括して管財費用を納めてもらえばよいので、債務者にとってもメリットがあります。
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Q10
現在、個人事業を営んでいる場合、同時廃止になりますか?

A10
原則として管財事件になります。
同時廃止事件というのは、債務者の主張のみを信じて管財人調査をせずに破産手続きを廃止する制度です。
管財人の調査をせず債務者への事情聴取だけで十分かどうかが、破産事件か管財事件かの分かれ道になります。
事業を営んでおり、あるいは営んできた以上、資産や負債がどのように形成され、現在、どうなっているかを管財人に調査させる必要があります。したがって管財事件になります。
ただし、事業主とは名ばかりで、実際は雇用に近い形で報酬を得ている場合は、

?事業主の資産がなく
?負債の内容が生活費の不足を補うための金融業者からの借入のみであり
?その額も多額でない

という場合は、管財人による調査は不要で、同時廃止できます。
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Q11
過去、個人事業を営んでいた場合、同時廃止になりますか?

A11
原則として管財事件になります。
すでに事業を廃止していても、資産や負債を調査する必要性はあります。また、精算がどのように行われていたかも調査する必要があります。やはり、管財人による調査は必要です。
但し、以下の場合は、同時廃止で十分か検討されます。

負債額が500万円以下にとどまる。
債権者が金融業者のみである。取引先や従業員がいない、いても、破産に理解してくれている。
かなり前に廃業している。
精算が適切にされており現在資産がないことについて調査しつくされている。

売掛金・報酬債権、在庫備品、什器備品、賃貸物件の敷金の処理方法などがポイントです。
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Q12
法人が破産する場合の予納金は20万円ですか?

A12
20万円が原則ですが、それ以上になる場合もあります。
本来、破産管財事件の最低予納金は50万円でしたが、平成17年以降、東京地裁は、予納金を20万円とする少額管財事件を中心に運用し、管財事件の95%が少額管財事件として処理運用されています。しかも、この20万円も最長で4ヶ月4回の分割払いを許容しています。
しかし、この少額管財は、管財人が簡単に且つ短期で管財業務を行うことを前提とした制度ですから、以下の場合は、予納金は20万円を超えることが予想されます。

債権者数が100名を超える。
否認権行使のため相当程度の調査が必要。
売却対象不動産が遠方にある。
会社内に残置物が放置され、明け渡しが未了である。
労働者が多数で労働者健康福祉機構の立て替え払いが必要になる。
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Q13
法人破産を申し立てるに当たり必要なことは何ですか?

A13
裁判所や管財人に誠実であることです。
破産者には、説明義務、重要財産開示義務、調査協力義務があり、これを怠った場合は、免責が不許可となるのは当然として、刑事罰も科せられることになります。
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Q14
弁護士さんに依頼したらすぐに介入通知を出して取立を停止させてくれますか?

A14
すぐに通知を出す場合と出さない場合があります。
消費者金融トラブルに関するホームページでは、依頼を受ければ直ちに介入通知を出し、取立を停止させますという広告をしている事務所が非常に多いです。 これは、通常の消費者金融に関する自己破産事件では、当然の処理です。
ただし、法人破産、とくに事業継続中の場合は、受任と同時に介入通知を出すと、税務署の差押えや取引業者の商品引き上げなどを誘発し、かえって混乱を招く場合があります。
事業継続中の場合は、法人破産は、申立を急ぐべきで、介入通知は申立後に出したほうがベターな場合が多いです。
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Q15
手形決済期日が来週ですが、資金繰りがつきません。今から依頼して会社破産できますか?

A15
できるだけ頑張ります。
法人破産と消費者破産が異なる点、それは、スピードが要求されることです。消費者破産の場合、債権者のほとんどが消費者金融であり、相談者は、「その取立でまいっている、この取立をストップさせてくれ」という要望がほとんどです。そこで、介入通知を出せば、当面の問題は回避できます。
これに対し、法人破産は、「返済期日が迫っている、決済できないと大変なことになる」という相談がほとんどで、むしろ、返済期日までに破産の申立をする必要があることになります。この期間内に、従業員問題、得意先への対応、財産保全措置を講ずるとともに、書類を準備して破産手続きを取る必要があります。
短期期間内に多くの問題を解決するためには、相応の経験が必要となります。当事務所では、30年以上の経験と15名の弁護士が在籍しているというスケールメリットをいかし、できるだけ迅速に対応いたします。
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Q16
破産の申立をして終了まで、どのくらいかかりますか?

A16
概ね3、4ヶ月、長くて1年程度です。
申立をすると、緊急の案件は、当日、通常の案件は、翌週の水曜日午後5時に破産管財人が選出されます。 その時点で3ヶ月先の債権者集会が指定され、原則として、そこで破産手続きは終了します。
ただし、資産の換価、配当などがある案件では、1年程度かかることもあります。時間がかかるといっても、以前のように終了まで何年もかかるというのはレアケースです。
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Q17
会社破産の申立により代表者はどのような不利益を受けますか?

A17
会社に対する一切の経営権を失います。
破産申立で会社に対する管理権は全て管財人に移ります。また、通常は、代表者個人も自己破産するでしょうから、取締役の地位を失い、自由財産以外の一切の財産管理権が管財人に移ります。
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Q18
破産すると再起は不能になるのではないですか?

A18
その人の努力次第です。
破産宣告を受けると。その時点での財産を失うと同時に負債も消えます。つまり、資産も負債も全てゼロになります。しかし、宣告後の資産は、全て自分のものになり、返済に充てる必要はありません。その人の努力で再起することは十分可能だし、またそのような例も数多くあります。
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Q19
会社を破産させた場合、代表者はどのような義務がありますか?

A19
管財人の業務に誠実に協力する義務があります
破産者や破産会社の役員は、管財人に対し、説明義務(40条)、重要財産開示義務(41条)が課せられ、さらに通信の制限(81・82条)、居住制限(37・39条)があります。
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Q20
破産するにあたり従業員にはどう対応すれば良いですか?

A20
弁護士と相談し、できる限りのことをしましょう。
今後の手続きに必要な従業員以外の従業員は破産に伴い解雇することになりますが、今後の失業保険の受給や再就職のために、源泉徴収票を従業員に交付するとともに離職票をハローワークに提出する必要があります。また各市町村に住民税の異動届を提出し、年金事務所に資格喪失届けを提出する必要があります。
ただし、現実には、源泉徴収税を納めていなかったり、経営者として当然やるべきことをしていないことは、よくあります。その場合でも、できるかぎりのことはしましょう。
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Q21
実は、銀行融資を受けるために会社決算書を粉飾しています。破産できるでしょうか?

A21
多くの場合、あまり問題になることはありません。
倒産した中小企業が、粉飾をしていたということはよくある話で、中小企業の決算に多少の粉飾があるのは金融機関も織り込んでいます。たいていの場合は、倒産処理手続の途中で粉飾の事実がうやむやにされることがほとんどです。
ただ、明らかに金融機関から融資金をだまし取ろうとした場合などは、別です。 もちろん、上場会社なら、証券取引法上の観点から役員や監査法人などの個別責任の問題に発展することになるでしょう。
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Q22
従業員の給与が未払いです。国の建て替え制度があると聞いていますが?

A22
未払い賃金立替制度があります。
中小零細企業が破産・倒産するとき、従業員給与が未払いというケースが普通です。こういうケースでは、会社財産は何もないというのが普通で、これでは、多くの従業員が路頭に迷うことになります。 そこで、一定の要件に該当する人が、一定の金額について国が事業主にかわって立て替えて支払うという制度が、未払い給与立替制度です。
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