破産して企業と家族・従業員を救うQ&A

1. 家族を救う方法

Q1
破産を決意しているのですが、破産前に、不動産を換価し、家族の学費や医療費に充てることはできますか。

A1
適正価格の売買で、有用な資に充てるならできます。
破産会社代表者や代表者個人には、財産散逸防止義務・換価行為禁止義務があます。しかし、以下の要件に該当する場合は、換価できます。
1 売却価格が適正である。
2 有用の資に充て、残りを全額、管財人に引き継ぐ。

Q2
有用の資に充てるとは、どういう場合ですか

A2
合理性のある支出です。
従業員の給料、弁済期の来た買掛金の支払い、予納金や破産申請のための弁護士費用、常識的な生活費、医療費、転居費用、葬儀費用、学費、マンションの管理費や家賃、公租公課、等に費消しても、「有用の資に充てた」と言えますから、やはり、問題はありません。
しかし、まだ【給与日が来ていないのに給与】を支払ったり、【弁済期の来ていない買掛金】を支払ったりしたら、それは財産散逸防止義務に違反することになります。

Q3
代表者は、破産直前にも、他の従業員と同様、給料をもらうことができますか。

A3
従業員を兼務し、従業員として賃金も得ている場合には、賃金としての性質を有する部分について、受領することはかまいません。
財団債権である従業員の給与とは異なり、役員報酬は、売掛金同様、一般債権ですから、危機時以降の弁済は、管財人の否認対象になります。しかし、中小零細企業では、役員と言えども、従業員と同じ業務をしている場合があり、この場合は、その部分について危機時に弁済を受けても問題ありません。

Q4
管財人が破産者所有の不動産を放棄する場合があると聞きましたが。

A4
換価が非常に困難な場合は放棄します。
川敷の土地とか、そもそも売れる見込みがない場合や、 担保権者があまりに強硬で任意売却に応ずる可能性がない場合は、管財人が財団から放棄します。しかし、それ以外でも、相当期間(おおむね3か月程度)売却の努力をしたが、買い手が現れず、近い将来においても買受人が現れる見込みがない場合は、放棄します。

2. 従業員を救う方法

Q1
会社を破産させたら従業員が心配です。

A1
破産すれば、過去の未払い分は国の未払い賃金立て替え制度で今後の給与は雇用保険でまかなえます。
破産宣告時の未払い給与は、迅速に申立をすれば国が8割、立て替え払いをしてくれます。破産宣告後は、雇用保険がもらえます。会社で雇用保険に加入していなくても、もらえます。

Q2
従業員の受け皿となる別会社を作り、そこに従業員が移動することは可能ですか

A2
可能です。
破産は財産を差し押さえる制度です。会社や会社の財産をそのままにして、別法人を別の場所に設立し、従業員がそちらに移籍して、従前の顧客とあらたに取引をすることは可能です。