連鎖倒産防止

連鎖倒産防止に対する取り組み
破産申請予定の経営者が一番頭をかかえるのが連鎖倒産です。自分の経営の失敗で永年の取引先に多大な迷惑をかけるからです。

弊所では、中小企業の債権者の方には、連鎖倒産防止制度を紹介し、また、取引先の資金繰りを配慮して破産申立日を設定しています。

[倒産防止(経営安定)特別相談室]

道府県商工会連合会と主要な商工会議所、275ヵ所に設置している無料相談室です。どの程度、有効性があるか、かなり疑問ですが、とりあえずは、ここに駆け込み相談をしても良いと思います。東京の場合は、詳細は
https://www.tokyo-cci.or.jp/soudan/antei/
に詳しく記載されています。

[中小企業倒産防止共済]

独立行政法人中小企業基盤整備機構が用意している制度で、通称「経営セーフティ共済」と呼ばれています。
一定の規模以下の中小企業で、きちんとした会社経営を一年以上している会社なら、入会資格があります。一時貸付金、解約手当金もあります。
この制度は、8400万円を上限として、積み立てた掛金総額の10倍を上限として、焦げ付いた債権額相当額を、無担保・無保証人・無利子の融資が受けられます。これで連鎖倒産が結構防止できます。 掛金は月額5000円から20万円までで、掛金全額が損金に算入されますし、解約すれば返金されます。そういうこともあり、利用率は伸びているようです。
もっとも、融資を受けた段階で、融資額の10%を取られてしまうから、デメリットもあります。

[取引企業倒産対応資金(セーフティネット貸付)]

取引先(主に大企業)の破産、再生、会社更生の手続き開始申立があった企業の他、手形不渡りによる取引停止処分、私的整理、経営者の夜逃げ等で、資金繰りに窮した場合の制度です。セーフティネット貸付と言われています。詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/06_tousanntaisaku_m_t.html

[セーフティネット保証制度]

各都道府県等の信用保証協会が扱っている制度です。
http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_gaiyou.htm 対象会社は、取引先の経営悪化により経営の安定に支障を生じている中小企業者です。
まず事業所の住所地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受ける必要があり、認定を受けた後、金融機関に信用保証協会保証付き融資を申込むことになります。
普通保証 は2億円以内、無担保保証は 8,000万円以内、無担保無保証人保証 1,250万円以内で、さらに同額の別枠融資が受けられます。


このように、国は、倒産防止相談室をもうけ、さらに、セーフティ共済・セーフティ貸付・セーフティ保証を設けています。このうち、一番現実的で一番有益なのは、経営セーフティ共済でしょうが、加入率は増えてきたとはいえ、まだまだ低いです。

破産申請代理人も、債権者に破産通知を出すXデーの設定については、懇意にしていた取引先の連鎖倒産を防ぐという観点も加えて決める必要があります。取引先は、たいてい破産申請会社の入金日の翌日を支払日としています。入金日にいきなり通知を出すと翌日の手形が落ちないということもありうるからです。